独自のスタイルを貫く。
海乃屋

気になっていた店にやっと行くことが出来た。本格的にラーメンの食べ歩きを始めて10年ぐらいになろうか。海乃屋である。
お店に着くと老齢の店主とアルバイトだろうか、高校生ぐらいの少年の2人。カウンターに座りラーメン(600円)を注文。
長渕剛氏が常連として足繁く通うことであまりにも有名な店。店内にはこれでもかといわんばかりに氏と店主が一緒に写っている写真が飾ってある。

ラーメンが出てくる前に、麦茶と醤油のかけられた大根の漬物が出てきた。この漬物はなかなか旨かった。
店主の作る所作を見る。やはり独特の作り方である。麺をゆでている間に元ダレ、香味油?を丼に。茹でた麺を先に丼に盛ったのちに具材であるチャー シューと湯通ししたもやしとキャベツ、香味野菜としてのネギ、揚げタマネギをトッピング。そして最後にスープを上からかけて提供。一番驚いたのはこのスー プにはすでに調味がしてあること。なぜわかったかというと、店主がゆっくりとスープの味見をしたのちに、砂糖を鍋に直接入れたからである。このような作り 方は初めてみた。全国的にも珍しいだろう。

さて、肝心のラーメン。

結構強めの豚の香りがする。といってもあまり嫌味ではない、穏やかな感じ。ただ単に豚肉を煮込んだら出てくるだろうな、というあの香りである。
うわさ通り、かなり甘みを感じるスープだが、個人的には甘すぎるという印象はない。背ガラからしっかりエキスが出ていて、うまみは十分に感じる。もしかしたら煮出し過ぎかな?酸味を感じたのは。あっさりした飲み口なので、湯通しした野菜との相性も良い。
イシマル製の麺の茹で加減も丁度いい加減である。チャーシューは脂身の少ないぱさぱさした感じ、おそらく腿肉のものが4枚。あまり得意なタイプではないが、食べごたえは十分にある。

食べ終えようとすると客が入ってきた。店主に桜島に行ってきた旨を話していた。「剛はおらんかったか?」武骨ながらもやさしい口調で聞く店主。どうやら本当に頻繁に長渕氏は来られるようだ。

決して今流行の味でもないし、バランスがとれているか?と聞かれると答えは否、なのだが、このままずっと続けて頂きたいと思った。長渕ファンのみならず、地域の方々からも本当に愛されているのだと感じられたので。ご馳走様でした。

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