思い出補正、ではなく普通に美味い。
「ラーメン専門まる竹ほんき」(姶良市)

 
 
かつて鹿児島市春日町にあった、ほんきラーメン。用務先から近かったこともありよく通わせていただいた店の一つだった。店主と奥さんの口げんかが名物だったのも懐かしい思い出。ラーメンそのものはに立たせることなく煮だしたクリアな豚骨スープのとてもやさしいものだった。おにぎり1個40円?ととてもリーズナブルでありながら、注文してもそれを忘れ去られていたのもいい思い出だ。
個人的にはラーメンを食べていた時に、「にいちゃん、あの出前用のバイク買わんか?10000円でよかよ〜」と声を掛けられびっくりしたのがこのお店の最大の思い出である。
もう10年も超えるだろう。春日町のほんきラーメンは閉店し、そちらの常連さんだった方が姶良に新しく「まる竹ほんき」という店を構えた。
昔のファンとしてはどうしても同じものを求めてしまうのだが、実際に同じものを作り上げるのはまず不可能に近い。また、妙な思い入れがあり、少しでも異なると「あの店は全然違う」と表現がどんどん誇大化していくのは仕方がないことだと思う。私自身も実際そうだったからだ。

久しぶりにまる竹ほんきラーメンを訪問した。夕方6時前、誰もいないかと思ったら常連らしい中国人女性が店主と仲良さそうにしゃべっていた。今回はチャーシューメン(700円)の食券を購入し店主に手渡す。最初オープン時は漬物もあったが今は提供していない模様。
それほど待つことなく提供されたチャーシューメンはこれでもかといわんばかりにチャーシューが載せられていた。肩ロースのチャーシューだったので少々意外に感じたが、これはもちろんこれで美味しい。穏やかな調味の豚骨スープは少しだけニンニクの風味が感じられとても味わい深い。麺もしっかりコシを残して茹で上げられており歯触り、のど越しともに上々。
「ほしい方はお申し付けください」と掲示があった辛子ニンニク(これはおそらく春日町時代のものの特徴をよく引き継いでいる)を小さじ2杯ほど加え、味の変化を楽しみながら完食。

人間の記憶はあいまいなものだが、こちらのラーメンは以前の「ほんき」のものとは違うもののとても美味しいものだった。
昔の味を求めてしまうのは「のぼる屋」しかりであるが、きっとしていくだろうこちらのお店の進化も楽しみになった。

ご馳走様でした。